アンドロイド・ニューワールド
「ようやく私は、友達を得ることが出来ました。今日は吉日ですね」

「いや、吉日ですねじゃなくて…。だから、俺と一緒にいたら君まで嫌われることに…」

「他人の私に対する評価など、私にとってはどうでも良いことです」

と、私は再度言いました。

すると。

「で、でも友達作るんじゃなかったの?」

と、緋村さんは尋ねました。

確かに、友達を作るには、他人からの評価が大切ですね。

しかし。

「友達なら、あなたがいます」

「…え…」

「友達を作るのが良い、とは言われましたが、何人作れ、とは言われていません。0と1には大きな違いがあります。今ここで、他のクラスメイトの評価を気にしてあなたと手を切ったとして、果たして私には、他に友達が何人も出来るでしょうか?そんな保証は何処にもありません」

と、私は言いました。

「その点、今ここであなたの手を取れば、少なくとも私は、友達を一人作ることに成功します。一兎を失うリスクを犯して、二兎を追うのは堅実ではありません」

「…それは…そうかもしれないけど…」

「そして、これは非常に迷信的なもので、特に根拠がある訳ではありません。所謂、勘というものですが…」

「?」

「私はあなたと友達になれば、人間の感情が分かる。そんな気がしているのです。だから緋村さん、あなたは私の友達になってください」

と、私は言いました。

久露花局長が言うには。

友達というものは、頼んで出来るものではなく、いつの間にかそういう関係になっているものだそうですが。

私には、そんな人間的な、器用なことは出来ないので。

こうして不器用に、頭を下げて友達になって欲しいと乞うのです。

今度こそ、本当の友達に。
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