傾国の姫君
秦王の冷たい一言に、辺りが凍り付いた。

「待って下さい!この者は、先程王に声を掛けて頂いた、慶文でございます。命だけは!」

村の長が言うと、役人が秦王に近づいた。

「如何致しますか。」

「無礼者は好かん。」

「だ、そうだ。」


その時だった。

私の目の前で、慶文の身体を、役人の刀が貫いた。


「慶文!」

私の叫びがこだまし、慶文は土の上に倒れ、血が流れた。

「死体は王に見せるな!」

言われた周りの人々は、急いで慶文を、家の中に運ぶ。


「慶文!慶文!」

私が暴れるのを照葉が、抑え込んだ。

「今はじっとしているのよ!」

「夫と子供が殺されたのよ!黙っていられないわ!」

私は走って、秦王の前にやってきた。

「この残酷者が!」
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