傾国の姫君
そして私は、水酌みも午前中に終わらせるようになり、午後からは舞と剣術の修行ができるようになった。

「もっと、相手を見ろ!」

「はい!」

「そこを思い切り突くんだ!」

「はい!」

舞は型を覚えればよかったけれど、問題は剣術だった。

なにせ人を刺すのは、初めてだからね。

「まあ、いいだろう。」

はぁはぁと、息を切らす。

全く運動をした事のない私にとっては、舞ながら相手を見て殺すなんて、至難の業だ。

「そしてもう一つ問題なのが、逃げ方だ。」

「逃げ方⁉」

「何と言っても秦王を殺すんだ。その後の追手も凄まじいだろう。」

「……そうなんだね。」

もしかしたら、捕まって殺される?

そうならないように、逃げるのか。

「俺が追手の役になるから、おまえはとにかく逃げろ。」

「逃げてどうするんだよ。」

「この道場に逃げ帰る頃には、追手も諦めるだろう。」

そうだよね。
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