傾国の姫君
私の声を聞きつけて、慶文と昇龍さんが、振り返る。

「慶文!正英がいないの!」

「なに!?」

すると秦王の列の方向から、ヒヒーンと馬の泣き声がした。

「正英ちゃん!」

照葉さんの声を聞いて、私は家の外に出た。

「正英!」

その瞬間だった。

正英は、馬の足に蹴られて、家の壁に飛ばされた。


「きゃあああ!」

「正英!」

私と慶文が行くと、正英は頭が割れて、血が噴き出していた。

「正英!正英!」

抱きしめると、息をしていなかった。

「うわあああ!正英!」

私の泣き声に、慶文も正英の死を知った。


「何事だ!」

王の役人が、私達に近づいてきた。

「息子が、馬に轢かれて死んだのです!」

「ああ⁉」
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