君の笑顔〜アナザーストーリー〜
余計に俺は車から降りれなかった。

時間が許すかぎり…こうして同じ時間を過ごしたい。

何にもしなくてもただこうして一緒にいれるだけでいいんだ。


帰りたくない気持ちを全身を使って表してみた。

リクライニングを倒しながら呟いた。


「なんかあんまり帰りたくないなぁ…」


家に帰っても一人だから…

いい加減俺も慣れろって話だけど…

二人でいる暖かさを知ってしまった以上、なかなか一人の世界に戻ることができない。


寂しがっている俺の気持ちを察したのかどうかはわからないが、舞岡さんはうつむいたままそっと微笑んだ。


外は真っ暗。

女の子をいつまでも引き止めておくわけにはいかねぇな…


「じゃあ、またね。プレゼントありがとう」

「うん、バイバイ」


最後に舞岡さんの笑顔を見て、安心した気持ちで車から降りた。
< 99 / 168 >

この作品をシェア

pagetop