おどおど姫と甘い恋♡



「大ちゃーん、俺ちょっと休憩~」

「ん。」

「お前も休憩すればー?」

「んー。」

「雄介ー、絵描いてるときすぐるに話しかけても無駄だってー!」



集中してる頭ん中に、会話がなんとなく流れてく。


音楽みたいに聞き流すことができるのが、俺の特技。


そのあともごちゃごちゃと流れ続ける会話を、理解できない洋楽だと思い込んで右から左へ流してく。



「つーかヤマどこ行ってたの?」

「ん?渡り廊下」

「なんで?」

「1年女子に呼び出されたから」

「なになに、告白でもされちゃった?」



流していたはずの会話が、急に頭の中で日本語として響いた。


多分……聞こえてきたワードのせい。



『1年女子』『告白』



途切れた集中力の中、その言葉たちに顔を上げた。


上げた先、……さっきはいなかったのに、雑用係りの中にななちゃんがいる。



戻ってきたの、全然気づかなかった。



「で、告白されたの?されてないの?どっちなの!」



あずさの尋問の餌食になってるヤマが、哀れだ……。



「され……た」

「まじ!?うっそ、1年見る目ねぇー!」

「うるせえぞ佐伯、俺こう見えて結構モテんだかんな!」



2人とも、うるせえ……。


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