おどおど姫と甘い恋♡



そんなことを考えながら、階段までの廊下を歩く。


空を見ながら歩いてたら、夕焼けになろうとしてた少しの光が、雲に隠れて消えてった。




「あっ、大ちゃんせんぱぁぁぁい」




甘い声が、……俺を呼ぶ。



この子のために俺はなにも頑張ってないのに、それでも俺を呼んでくれる声。



「お疲れ様ですっ、これ、コーヒー牛乳、よかったら飲んでくださぁい。好きですよね?それ」

「うん。」



受け取ったコーヒー牛乳を、じっと見る。


いつの間にか、みんなにコーヒー牛乳が好物だって、思われてる。


ほんとは苦手だったのに。


甘い飲み物、好きじゃなかったのに。



今は俺、……甘いの、好き?



「……。」

「大ちゃん先輩?遠慮しないで飲んでください」



俺は、なにが好きなのか。


なにを、好きなのか。


そんなの、わかりきってる……



好きなのは、コーヒー牛乳じゃない。


今だって、遠慮してるわけじゃない。



甘いのは、やっぱ今も苦手だから。


でも、あの子が飲んでたから。



ななちゃんが、飲んでたから……


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