おどおど姫と甘い恋♡
「重いー!こんな重いもん、か弱い私には持てないー!」
「か弱い……ダレ……。」
俺が取れなかった棒をあっさり取ったくせに、今更重いとわめくあずさの腕から、棒を仕方なく取り上げた。
身軽になったあずさは、足を速めてラクそうに歩く。
「ねぇねぇ、すぐるくぅーーん」
「……。」
甘い声が、俺を呼ぶ。
愛原さんとは若干違う、……鳥肌が立つような、甘い声。
「ついでにパーカー貸してぇ」
「……。」
「雨、どしゃぶり~」
歩き出した裏庭は、さっきより土砂降りの雨になってる。
普通の女子じゃないはずのあずさが、濡れたくないからってパーカーを貸せと言う。
いつ女子になったんだ、こいつ……。
いや、鳥肌が立つ時点で、俺ん中じゃやっぱり女子じゃねぇだろ。
仕方なく……パーカーを脱いで、適当にあずさの頭に置いた。
「やったー、すぐるくんてばやっさしー」
「なんか奢れ。」
「厚意に対価を求めるな。ほら行くよ
パーカーを傘の代わりに被って、あずさが先を急ぐ。
もうそろそろチャイム鳴るんじゃねぇかなって、なんとなく校舎を見上げたら。