おどおど姫と甘い恋♡
「……手、貸して。」
「え、」
「手。」
「、…」
勝手に十歩近づいたって思い込んで、また、調子に乗る。
そのうちみんなでお揃いになるんなら、少しくらい、いいじゃんって、思うから。
ちょっとぐらい、2人だけのお揃いでも、いいじゃん。
なかなか出てこないななちゃんの右手を、ぎゅっと捕まえた。
机の上に置いてあるミサンガを持って、ななちゃんの手首に巻く。
「…、、」
「……」
心臓が、鳴ってる……。
ななちゃんの手首から鳴ってる気がするけど、……多分、勘違い。
どうせ、俺の心臓の音。
こんなでかいの、俺の音に決まってる。
「……」
「……。」
「……」
「……。」
「……うし。出来た。」
もし、嫌なら……取ってくれていい。
もし、明日になって取られてたら、それまでのこと。
それがななちゃんの、素直な気持ちってこと……
それをこの目で確認するまで、……俺には全然、へこむ理由は、まだない。
へこむ理由はないから、まだここにいる。