おどおど姫と甘い恋♡



「……なんか、お願い、した?」

「……ぇ、…ぁ、……」

「……あ。体育祭か。そのための、ミサンガ、か。」

「、…」



なんか、すごい忘れてたけど……体育祭。


そのためのミサンガだったのに、俺ん中じゃ、ななちゃんと俺のためだけのミサンガみたいになってる。


バカか……俺。



「……ゆーしょう、できますよーに……か。」

「……ハイ」



だよね。


そーだよね……



願いごとを叶えてくれるとか、本気で思ってるわけじゃない。


でも……もし、願うなら。


体育祭のことじゃなくて、いいんなら。



ミサンガに、願う。


勝手に仕掛けるけど。勝手にすぐ調子に乗るけど。


そのせいで、俺のせいで、ななちゃんが泣いたりしませんように、って。


俺の自分勝手な「好き」が、ななちゃんを困らせませんように、って。


自分のことなんて、願えないから。


だって、自分の気持ちばっか優先してる身勝手な俺だから、せめて、ななちゃんのことを願いたい。


その願いと引き換えに、……もう少しだけ、俺の身勝手を許してほしい。


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