おどおど姫と甘い恋♡
「大ちゃんさん、描けないです助けてください!」
「ぉ、ぉう……」
桑野が絵に苦戦してて、旗がまた黒っぽくなってる。
転がってる鉛筆を拾って、フラフラと座り込む。
片膝を立てて鉛筆をクルクル回しながら、どっからどう描こうかなって、絵と睨めっこ。
真剣に、頭の中で想像する。
完成した旗をイメージして……この辺から描いてこうって決めて、よし描くぞって思ったそのとき。
旗が……誰かの影で暗くなった。
「うわ~……細かい。細かすぎる。細かすぎて引くわ~」
「……。」
「すぐるー、あんた1年の子たちいじめる気でしょ?」
仁王立ちのあずさが、偉そうに俺を見る。
今の今まで教室の中はわりと静かだったのに、こいつがどっかから戻ってきた瞬間、空気が変わった。
ななちゃんの隣はあんなにほわほわした空気なのに、あずさの傍はギラギラした空気。
同じ女子なのに、えらい違いだな……。
「こんな細かい絵描かされて、可哀そうに」
「……。」
うるせぇぞって、眉間にシワが寄る。
ななちゃん見習ってミサンガ作れって、言ったら言ったで面倒そうだからグッと堪えた。