おどおど姫と甘い恋♡



「大ちゃんさん、描けないです助けてください!」

「ぉ、ぉう……」



桑野が絵に苦戦してて、旗がまた黒っぽくなってる。


転がってる鉛筆を拾って、フラフラと座り込む。


片膝を立てて鉛筆をクルクル回しながら、どっからどう描こうかなって、絵と睨めっこ。


真剣に、頭の中で想像する。


完成した旗をイメージして……この辺から描いてこうって決めて、よし描くぞって思ったそのとき。


旗が……誰かの影で暗くなった。



「うわ~……細かい。細かすぎる。細かすぎて引くわ~」

「……。」

「すぐるー、あんた1年の子たちいじめる気でしょ?」



仁王立ちのあずさが、偉そうに俺を見る。


今の今まで教室の中はわりと静かだったのに、こいつがどっかから戻ってきた瞬間、空気が変わった。


ななちゃんの隣はあんなにほわほわした空気なのに、あずさの傍はギラギラした空気。


同じ女子なのに、えらい違いだな……。



「こんな細かい絵描かされて、可哀そうに」

「……。」



うるせぇぞって、眉間にシワが寄る。


ななちゃん見習ってミサンガ作れって、言ったら言ったで面倒そうだからグッと堪えた。


< 154 / 166 >

この作品をシェア

pagetop