おどおど姫と甘い恋♡



「まぁやる気があんならなんだっていいや。つーか1年!つーか雄介!すぐるが珍しくやる気出してんだから、文句言わず着いていきなさい!こうなったらなにがなんでも1位とってよ!」



……なんだこいつ。

まるでリーダーみたいに旗係に向けられた言葉に、1年男子が一斉に怯えた。



「ま、すぐるも張り切ってるみたいだし、その細かすぎる旗、ちゃんと完成したら1位は確実ってとこじゃない?ふふん!」

「なんであずさがそんな偉そうなのー?」



つーか俺、やる気ある内に旗描きたいんだけど。


あずさがいる限り、描ける気がしねぇんだけど……。



「ほんとほんと。お前そんな元気有り余ってんならリーダーになりゃよかったじゃん」

「ダメダメー、あずさがリーダーだと1年生が怖がっちゃう」

「ちょっとスーちゃん、どーいう意味よ!」

「……あずさ、俺も怖ぇ。」

「おいこら!」

「……ほら、怖ぇ。」



も、描くのは諦めた。


1年も誰も描いてないし。


こんなんだから進まねんだ、この係…。



「高橋~、私怖くないよねぇ?」

「ぅえ!?え、……」

「ぅえってあんた!」

「素直な反応」

「ち、ちが、…」



怖いだろうよ、あずさは。


俺ですら怖ぇもん。



「おや?すぐるくん」

「んだよ。」



隣にいる雄介のスマホが震えて、雄介はそっちに夢中。


仁王立ちのあずさがしゃがみこんで、じっと俺を見てくる。



違う……。


俺を見てんじゃなくて、俺の手首を見てんだ。


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