おどおど姫と甘い恋♡



一瞬ヤマにむかついたけど、この少人数の教室の中はそれどころじゃない。


だって今、教室の中、俺と桑野とななちゃんと、ななちゃんの友達しかいねぇ。


3年の教室なのに1年に囲まれる、慣れない状況。


絵の具を混ぜて気分を落ち着かせながら考えるのは、1つだけ。



話し、かけるべきか。


今は、黙っとくべきか。


一応顔見知りにはなった、はず。


挨拶ぐらい、しと、く?


ヤマみたいに軽い感じで、「おー」って。



「……できねぇ。」



ボソっと……ため息みたいな声が出た。



軽く声なんて、かけれるわけ、ない……。


とか。



そんなんで、いーのか、俺。


とか。



グルグルグルグル、思考は行ったり来たり。



でも、好きなんでしょ?


しかもこれ、すんげぇ大好き、だろ?



『幸せは頭から』


雄介に教えて貰った言葉を思い出して、絵の具を混ぜた。



よし。


幸せを頭に浮かべて、話かけよう。



がんばれ、俺。


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