おどおど姫と甘い恋♡



「今日ジャンプ買って帰んなきゃなー」

「お、明日持ってきて」

「おー」



別に積もる話をするわけでもないけど、ダラダラ30分くらいこうしてる。


これが俺らの、日課。



「そういや大ちゃん、あれから新情報入手した?」

「……。」



菊とあずさの違いは、ここだ。


あずさなら多分、事情を知ってる人間の前でしか、この話はしない。


だけど菊は全然、……その真逆。


友達だからってノリで、話を広める。



「1年のあの子、どうなった?」

「……。」

「1年の」

「あの子?」




あいにくだが……新情報は、なんにもねぇ。


1個も、全然……残念ながら。



「……なんも。」

「まじかよ」



残念がる菊だけど……残念なのは絶対、俺のほう。


あれから2週間、全然、まったく、1回も……見かけることすらねぇんだから。



俺の残念さに勝てる残念は、きっと存在しない。


< 29 / 166 >

この作品をシェア

pagetop