おどおど姫と甘い恋♡
次の角を曲がったら、あとは玄関への真っ直ぐな廊下が続くだけ。
「うわ、雨さっきより強いじゃん」
「……。」
さっきみたいに見てるだけでいいのか、自問自答を繰り返しながら廊下を進む。
多分、違う。
見てるだけでいいのと、違う。
黙って見てるだけじゃなんにも始まらないって、あずさも言ってた。
じゃあ、なにをすれば……どうすれば、始まりになんの、……?
「、、、…」
もし……今戻って、まだ、あの子がいたら……
俺、がんばれる?
もし、まだいたら……声、掛けれる?
「お、れ……。」
玄関に向かうみんなの足が、止まった。
「ん、どした?」
「あ、傘あること思いだしたとか?」
「…、」
視線はもう玄関から逆向きになって、さっき通った廊下の方へ集中してる。
まだいたら、声をかけようって……自分に誓う。
「行って、くる、」
「え、傘?なら俺も一緒に行くわ」
「じゃー俺も」
「……。」
別に、いいけど……。
いたらいたで、こいつらピンチになったら適当に喋ってくれそうだし。