おどおど姫と甘い恋♡
そのままさっきの階段を上りながら、聞こえた名字を何度も頭ん中で繰り返す。
ほんの一瞬合った目と、聞こえた名字に頬が勝手に緩んでく……
顔、超熱い……。
「おー、菊。りんちゃんの話終わった?」
「おー、終わった終わった」
3階の階段で、丁度菊と出くわした。
つーか俺ら今、どこ向かってんだ?
「なに、忘れもの?」
「大ちゃんが傘あるっていうから」
「え、ねぇし。」
「はぁ!?おま、じゃあなんで戻ってんだよ」
「……。」
なんでって……そんなん……
「……菊、を。」
「うん?」
「……迎えに来た、だけ。」
「お前……」
「……。」
「いい奴だな」
「……おう。」
ここの廊下にいたってことは、やっぱりこっちの校舎ってことなのかな。
1年、何組なんだろう。
下の名前、なんていうんだろう。
彼氏とか、いるんかな。
「……次から次へと。」
「なにが?」
知っても知っても、次から次へと疑問が出てくる。
多分これ、キリねぇな……。