おどおど姫と甘い恋♡
「大ちゃん傘ねぇんなら、もう帰ろーぜ」
「帰ろ帰ろー」
何のために上がったのか謎すぎる階段を下りて、玄関に到着。
向こうから1年2年3年の順で下駄箱になってるから、こっち側には3年生がうようよしてる。
そんな中で見えたのは……女子の集団。
下を向いてスマホを操作したり、でもたまにチラッと顔を上げたり、焦ってすぐに下を向いたり。
謎すぎる集団が、3年の玄関側にいる。
あの集団、確かあの子の……高橋さんの、友達たちだ。
なにしてんだ、あいつら。
全員揃ってスマホに必死で……怪しすぎる……。
「菊、傘持ってる?」
「あるけど」
「よし、入れろ!」
「俺も入れろ!」
「そんなに入んねぇよ!」
「……。」
あそこに高橋さんの友達集団がいるってことは、待ってたら高橋さんも来んのかなって思うけど。
みんなはもう帰る気満々だから、俺も靴を履き替えた。
「雨とかまじ最悪」
「お前ら折りたたみ傘持ち歩けよな」
「つーか天気予報雨だった?」
「天気予報といえばさ、朝のお天気お姉さんのみぽりん、超萌えんだよなー」
「やめとけ。みぽりんは相当遊んでるぞ」
「雄介、どこ情報よ」
「画面越しの女なら、遊んでたってよくね?」
「むしろ俺とも遊んでください的な?」
「……。」
高橋さんが戻ってくんじゃないかって、そればっか気になる。
だからさっきの女子集団を、チラチラ見て確認したいのに……
なんでだろう。
なんか俺、女子集団に、逆にチラチラ見られてる気がすんだけど……。
気のせい、……か?