おどおど姫と甘い恋♡
「うぃーす」
「はよ。」
「おはー!」
朝はいつもの交差点で、瞬くんと直人と合流する。
最近新しい自転車を買った直人は、1番乗りでペダルを漕ぎだした。
「直人、ちゃんと右左確認しろって!」
心配性の瞬くんに笑いながら、直人の後を追う。
小さい頃はよく3人で買い食いしてた駄菓子屋を超えて、3人でよく遊んでた大きな川を越える。
昨日の雨で出来た水たまりが、あちこちでいっぱい光ってる。
なんでだろう。
最近は全部の景色が光って見える。
川も水たまりも花も空も。
全部が全部、輝いてる。
学校の駐輪場に着く頃には、ペダルを漕ぎまくった体はいつも火照ってる。
なんとなく汗ばむ俺の横で、暑がりの瞬くんが額に汗を光らせるのはいつもの光景。
「あ、おやじー!」
駐輪場で、直人が友達を見つけて駆け出した。
直人の友達の『おやじ』は、決して老けているわけでも、本当のオヤジなわけでもない。
ただ単に、名字が『小野寺』ってだけで、それをおやじと読む。
考えたやつは頭がいいのか悪いのか、ようわからん……