おどおど姫と甘い恋♡
「かけたし。」
「なにが」
「話し、かけたし。」
「なにそのドヤ顔」
「……。」
今日に限って興味なさそうな顔して、あずさは雄介と帰っていった。
聞けや。
いつもしつこく尋問してくんだから、話しかけたことにもっと興味持てや。
全然、こんなちっさい出来事、あずさにとっては一大事でもなんでもないんだろうけど。
もっと先の進展を、あいつは期待してるから。
だけどそんなの、望み通りいくわけない。
チームメイトになったからって、たった一言話しかけたからって、次の日に友達になってるわけでも、知り合いになってるわけでもないから。
あの子にとってはただの、名前も顔もよく知らない、ただの3年生の1人のまま。
存在すらも不確かな、いるかいないかもわかんない、通行人レベルの人間のまま。