おどおど姫と甘い恋♡
そんで、上手い具合に喋れるようになって、顔見知りになって、番号とか交換できんじゃねぇかなって……
都合のいい妄想は、どんどんどんどん膨らんでいく。
「……ななにLINEしなきゃ」
「あの子まだ学校いるかな…?」
さっきのでかい声とは違う、今度はコソコソ、友達集団の2人が話す。
コソコソ話す会話の中に、ななって名前が聞こえたから、俺の耳はダンボになって盗み聞きを開始。
「3-2行くって言ってたよね」
「昨日も行ったあとすぐ帰ったって言ってたし、今日も帰ってるかもだけど。一応LINEで呼んでみる?」
「んー、帰ってたら落ち込むだろうし、明日報告するのがいいかも」
「そっか、そうだね」
「……。」
呼べや……。
なんの話かよくわかんねぇけど、呼ぶか呼ばないかで迷ってんなら、呼べや……。
なんて言えるわけもなく、小さなため息が講堂の中に消えていく。