おどおど姫と甘い恋♡
「……菊、」
「んー?」
ポケットに手を突っ込んで、歩く廊下。
学食に向かう生徒たちで、廊下はすでに混みあっている。
「付き合ってる2人って、……なにすんの?」
「は?」
「彼氏と彼女って、……なにすんの。」
聞かなきゃわかんないほど、無知なわけじゃない。
でも、……もしかしたら、俺が想像すんのと、違うかもしんないし。
「なにってお前……想像通りのことじゃん?」
「……。」
「やらしーことだろ」
「……。」
違う。
そんなこと……菊が想像するようなこと、あの子は絶対してない。
と、信じたい……。
「俺らも彼女が出来れば、色んなこと出来んのになー」
「……。」
「いいよなー、ヤマは。あいつしょっちゅう彼女の家泊ってるらしいじゃん。どんだけやってんだろ」
「……。」
男子高校生の会話なんて、こんなもん。
俺だって男子高校生だから、全部に興味がないわけじゃない。
健全、とまではいかないけど……それなりに、興味はある。
でも、あの子と菊の弟のことを想像すんのは……死にそうになる。
無理だ。
俺、無理だ。
そんなん、まじで無理すぎる。