おどおど姫と甘い恋♡



「なにって、男と女、やることなんて1つだろ」

「だよなー」

「……。」

「二人も彼女作ればいーのに」

「簡単に言うなって」



しばらくしてもう一度見たら、あの子たちはいなくなってた。


近くにいたのに、声も掛けられない。


交わす言葉はなんにもない。


当たり前すぎる現実が、……痛すぎる。



「やっぱ味噌ラーメンにしよ……。」



菊とマンボーの会話には参加しないで、1人呟く。


こんな気分のときはさっちゃんに会いに行こうって、菊たちを残してラーメンコーナーに向かう。


向かう途中で、瞬くんがキープするテーブルが見えた。


俺に向かって大きく手を振ってくる瞬くんは、相変わらず俺のことが大好き。


だけど全然、瞬くんとあずさの話、聞けてないままだ。



「さっちゃん、味噌よろしく。」

「おう大ちゃん、味噌一丁ね!」



今日もおばちゃんやおじちゃんたちが、忙しそうに湯気の中で頑張ってる。


人が頑張る姿を見んのは好きだ。


俺も頑張んなきゃなって、思えるから。


だけど……



「……俺、失恋した。」

「ん?」



頑張る道が閉ざされて、これから先、なにを頑張ればいいのか……


目の前は、やっぱりずっと、真っ暗なまま。


< 99 / 166 >

この作品をシェア

pagetop