おどおど姫と甘い恋♡
「なにって、男と女、やることなんて1つだろ」
「だよなー」
「……。」
「二人も彼女作ればいーのに」
「簡単に言うなって」
しばらくしてもう一度見たら、あの子たちはいなくなってた。
近くにいたのに、声も掛けられない。
交わす言葉はなんにもない。
当たり前すぎる現実が、……痛すぎる。
「やっぱ味噌ラーメンにしよ……。」
菊とマンボーの会話には参加しないで、1人呟く。
こんな気分のときはさっちゃんに会いに行こうって、菊たちを残してラーメンコーナーに向かう。
向かう途中で、瞬くんがキープするテーブルが見えた。
俺に向かって大きく手を振ってくる瞬くんは、相変わらず俺のことが大好き。
だけど全然、瞬くんとあずさの話、聞けてないままだ。
「さっちゃん、味噌よろしく。」
「おう大ちゃん、味噌一丁ね!」
今日もおばちゃんやおじちゃんたちが、忙しそうに湯気の中で頑張ってる。
人が頑張る姿を見んのは好きだ。
俺も頑張んなきゃなって、思えるから。
だけど……
「……俺、失恋した。」
「ん?」
頑張る道が閉ざされて、これから先、なにを頑張ればいいのか……
目の前は、やっぱりずっと、真っ暗なまま。