塩彼氏の愛
外でミヤと待っていると、さっき電話中にハナちゃん呼びした須崎さんが外に出てきて近付いてきた。

「ハナちゃ〜ん。外で何してるの?
もしかして、帰るの?帰っちゃヤダよ〜
なかなか一緒になれるチャンスないのにさぁ」

やばっ、この人完全に酔ってる。
ミヤもダメだこりゃとジェスチャー。

「須崎さん、ハナは他の用事があって先に帰るんです。人を待ってるので、傷付く前に中に戻った方がいいと思いますよ」と、ミヤが須崎さんに声をかける

さすが、ミヤ!!
でも傷付くってなに?
須崎さん酔っ払いすぎて事故るって事?
声には出さず、ミヤにアイコンタクト。

ミヤは苦笑いして私を見て

「なんでハナってこんなに無自覚なの?ここまでくると罪な女だねぇ…」と、ボソッと呟いた。

何言ってんだか?ミヤは…
訳わからん。

視線をミヤからズラすと
須崎さんが視界のど真ん中に入ってきて

「戻らないなら、送るよ。もう遅いし危ないよ!カバン持ってくるから着いてきて」
と、私の方へ手を伸ばしてきた所で

後ろからグイッと腕を引かれて肩に腕をガシッと回された。

振り向くよりも先に

「触らせるなって言ったの忘れたのか…」
と、不機嫌を隠さない見知った声。

「あっ、ゆんちゃん。本当に来たんだ…」

「本当に来たんだ…じゃねーよ💢
お前バカじゃないの?」

と、私の肩を抱いたまま怒り出す。
氷点下の眼差し。怖し。
須崎さんはいないものとしてガン無視。

そして目線をミヤに移すと表情を少し和らげて

「この人がミヤって人?」

「うん、ミヤだよ」

「いつもハナがお世話になってます。
大変だと思うけど、よろしく」

と、ミヤに軽く会釈するユンちゃん。

呆気に取られて見ていたミヤも
すぐ笑顔になり会釈を返すと

「初めまして。ハナの友人の真咲ミヤです。
こりゃ、須崎さんノックアウトだねぇ…
彼氏もまたとんでもない美形だな…」

最後の方は遠い目をしながら
1人の世界に入るミヤ

そしてハッと我に変えると

「さて、私はまた部長のところに戻らないと。
須崎さんも戻りますよ〜。これはちょっと勝ちめないと思います。」
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