夜風のような君に恋をした
九月ももう、終わりが近づいている。

早いようであっという間だった。

そんな焦りと虚無感に、今月もまた駆られている。

午前中の、中間休み。

ざわつく教室内で自分の席に着き、私はひとり英単語帳に目を落としていた。

少しだけ開いた窓から吹く風が髪を揺らし、ふと顔を上げる。

窓の向こうの水色の空に、飛行機雲が長く伸びていた。

その上空には、白い三日月。

日が暮れるまで、まだまだ時間がかかりそうだ。

今日は塾の日だから、冬夜に会える――。

「雨月ちゃーん!」
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