夜風のような君に恋をした
胸の動悸を必死に抑え、思考だけをぐるぐる巡らせていると、芽衣が心配そうに顔を覗き込んできた。

「……ううん、何でもないよ。昨日寝るの遅かったから、朝から眠くって」

「雨月ちゃんのことだから、また夜遅くまで勉強してたんでしょ?」

「うん、まあ、そんなとこ」

「やっぱり~、無理しちゃだめだよ~」

そう言ってまたかわいく笑う芽衣を見ているだけで、私はどうしようもないほど、泣きたい気持ちになっていた。
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