夜風のような君に恋をした
どんなに考えても、あんなにかわいい彼女がいるのに、居場所がないなんておかしい。

死にたいだなんて矛盾してる。

きっと、死にかけの私を哀れんで同情して、死にたがりのフリをしていただけなのだろう。

だとしたら、冬夜は最低だ。

「どうしてって、思っているままを言っただけだよ」

その返事に、私は唖然とする。

冬夜はどうして嘘なんかつくんだろう?

何も言えなくなって、口を固く引き結び、黙り込む。

どこかムッとしたような顔の冬夜を見ていたら、だんだん悲しくなってきた。

私たちは、運命共同体だと思っていたのに……。

どこまでも闇が深いこの世界で唯一の、支え合える存在だと思っていたのに……。

くやしい。
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