夜風のような君に恋をした
四章 夜が枯れる
夜が、こんこんと更けていく。
俺はひとり高架の欄干に両腕を預け、目下に流れゆく車のヘッドライトを眺めていた。
車の量も、徐々に減ってきている。
時計を持っていないからわからないけど、おそらく、午後十時前あたりだろう。
「はあ……」
闇に沈み込みそうなほど、深いため息が出た。
俺の失望感を煽るように、冷たさを孕んだ秋の風が横から吹きつける。
雨月は、塾があるはずの水曜日も金曜日も、ここに来なかった。
そして今日は、週が明けた月曜日。今夜も来なかったから、これで三回連続だ。
「俺、何かしたっけ……?」
あの日、雨月は様子がおかしかった。
『どうして居場所がないだなんて言ったの?』なんて、少し怒ったように聞いてきて、俺は思わずムッとしてしまった。
雨月にだけは本当の自分を見せているのに、そんな言い方されたら悲しすぎる。
今にして思えば、その問いを投げかけたとき、雨月も悲しげだった。
何か、つらいことがあったんだろうか?
ちゃんと話を聞いていたら、分かりあえただろうか。
ひとりの夜は、長くて終わりがない。
こうして先の見えない闇を見ていると、このまま埋もれて、沈んで消えてしまいそうだ。
家に居場所がない疎外感、そして学校での偽りの自分に対する嫌悪感が、ドロドロとした見えない手となって、俺を追いたてる。
俺はひとり高架の欄干に両腕を預け、目下に流れゆく車のヘッドライトを眺めていた。
車の量も、徐々に減ってきている。
時計を持っていないからわからないけど、おそらく、午後十時前あたりだろう。
「はあ……」
闇に沈み込みそうなほど、深いため息が出た。
俺の失望感を煽るように、冷たさを孕んだ秋の風が横から吹きつける。
雨月は、塾があるはずの水曜日も金曜日も、ここに来なかった。
そして今日は、週が明けた月曜日。今夜も来なかったから、これで三回連続だ。
「俺、何かしたっけ……?」
あの日、雨月は様子がおかしかった。
『どうして居場所がないだなんて言ったの?』なんて、少し怒ったように聞いてきて、俺は思わずムッとしてしまった。
雨月にだけは本当の自分を見せているのに、そんな言い方されたら悲しすぎる。
今にして思えば、その問いを投げかけたとき、雨月も悲しげだった。
何か、つらいことがあったんだろうか?
ちゃんと話を聞いていたら、分かりあえただろうか。
ひとりの夜は、長くて終わりがない。
こうして先の見えない闇を見ていると、このまま埋もれて、沈んで消えてしまいそうだ。
家に居場所がない疎外感、そして学校での偽りの自分に対する嫌悪感が、ドロドロとした見えない手となって、俺を追いたてる。