夜風のような君に恋をした
一輝と俺はしばらくそこで話をしてから、高架を下りた先の横断歩道で別れた。
夜の街を、拭えない虚無感を抱えたまま、家へと向かう。
無言のまま玄関扉を開け、スニーカーを脱ぎ、足音をたてないようにして廊下を進んだ。
「宵、いつまでテレビ見てるの?」
リビングから、俺にはかけられたことのない、母親らしい恵里さんの声がする。
「ちょっと待って~。もう少しで終わるから」
「エンディングの歌なんて何回も聞いてるのに、もういいじゃない。早くテレビ消して寝なさい、明日も学校なのよ」
うっすら空いたドアの隙間から、ソファに座り、”かっぱらっぱ”のエンディングソングを食い入るように見ている宵の後ろ姿が目に入った。
らっぱみたいな口をした河童のかっぱらっぱが、個性的なキャラクターと並んで体操をしている映像が、テンポのいい音楽とともに流れている。
宵の隣には父さんが座っていて、本を手にしながら、時折テレビをチラ見していた。
「最後の歌が面白いんだよな。恵里はわかってないな」と、茶化すように恵里さんに抗議している。
「もう、親子そろって仕方ないんだから」
夜の街を、拭えない虚無感を抱えたまま、家へと向かう。
無言のまま玄関扉を開け、スニーカーを脱ぎ、足音をたてないようにして廊下を進んだ。
「宵、いつまでテレビ見てるの?」
リビングから、俺にはかけられたことのない、母親らしい恵里さんの声がする。
「ちょっと待って~。もう少しで終わるから」
「エンディングの歌なんて何回も聞いてるのに、もういいじゃない。早くテレビ消して寝なさい、明日も学校なのよ」
うっすら空いたドアの隙間から、ソファに座り、”かっぱらっぱ”のエンディングソングを食い入るように見ている宵の後ろ姿が目に入った。
らっぱみたいな口をした河童のかっぱらっぱが、個性的なキャラクターと並んで体操をしている映像が、テンポのいい音楽とともに流れている。
宵の隣には父さんが座っていて、本を手にしながら、時折テレビをチラ見していた。
「最後の歌が面白いんだよな。恵里はわかってないな」と、茶化すように恵里さんに抗議している。
「もう、親子そろって仕方ないんだから」