夜風のような君に恋をした
野菜ジュースの入ったコップ持つ手が、ピクリと震えた。
そうだ。
五年という歳月の隔たりがあったのに、私たちの時間的な会話は不思議と成立していた。
あの頃はまさか五年前を生きる冬夜と話していたなんて思いもしていなかったから、当たり前のことだと思っていたけど、よく考えるとおかしい。
だけどそれは、五年前の曜日と今年の曜日が、たまたま重なっていたかららしい。
息を呑みながら、私はテレビの横にかけられたカレンダーに、視線を移した。
今日は、十月七日の金曜日。
昨日見た五年前のネット記事では、十月八日付けで、前日の事件について書かれていた。
つまり十月七日の今日は、冬夜の命日だ。
全身を駆け巡るような焦りを感じた私は、箸を置くと、ガタンとダイニングチェアを引いて立ち上がる。
「ごちそうさま」
「あら? ほとんど食べてないじゃない」
「ごめんね、ちょっと食欲なくて。でも元気だから心配しないで」
早口でお母さんに告げると、私は足早に階段を駆け上がった。
それどころじゃなくて、今日はお兄ちゃんの朝ご飯を部屋に持って行く余裕なんてなかった。
そうだ。
五年という歳月の隔たりがあったのに、私たちの時間的な会話は不思議と成立していた。
あの頃はまさか五年前を生きる冬夜と話していたなんて思いもしていなかったから、当たり前のことだと思っていたけど、よく考えるとおかしい。
だけどそれは、五年前の曜日と今年の曜日が、たまたま重なっていたかららしい。
息を呑みながら、私はテレビの横にかけられたカレンダーに、視線を移した。
今日は、十月七日の金曜日。
昨日見た五年前のネット記事では、十月八日付けで、前日の事件について書かれていた。
つまり十月七日の今日は、冬夜の命日だ。
全身を駆け巡るような焦りを感じた私は、箸を置くと、ガタンとダイニングチェアを引いて立ち上がる。
「ごちそうさま」
「あら? ほとんど食べてないじゃない」
「ごめんね、ちょっと食欲なくて。でも元気だから心配しないで」
早口でお母さんに告げると、私は足早に階段を駆け上がった。
それどころじゃなくて、今日はお兄ちゃんの朝ご飯を部屋に持って行く余裕なんてなかった。