夜風のような君に恋をした
窓の向こうは、夏の名残を残した、澄んだ秋の空。

昼は嫌いだ。

まぶしい光に、どす黒い俺の心を見透かされるんじゃないかと不安になるから。

俺はペンケースを漁るフリをして、どうにか呼吸を整えた。

いつからだろう? 

優等生のフリをして、誰にでもいい顔をするようになったのは。

中学校、いや、もっと前かもしれない。

焦り、嫉妬、劣等感。無邪気な周りとは異なる、そんなドロドロとした感情にまみれた自分の本性に気づいたとき、とにかく何層も上塗りして、本当の自分を隠さないといけないと思った。

本当の俺を知ったら、皆軽蔑して、遠ざかっていくだろう。

家に、俺の居場所はない。

だからせめて、学校には自分の居場所が欲しかった。

たとえそれが、偽りの席であろうとも。
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