気づけば君が近くにいてくれた
私たちの座る斜め前の席が空いて、新規のお客さんが案内されてきた。
きっとお茶会をしに来たのであろうおばさんグループだ。
お母さんお父さん世代よりは少し年上だと思うけれど、C&Hのファン層を見ても結構多いライン。
あーでもない、こーでもないと言いながらメニュー表を見て話している声が聞こえてきた。
あの人たちも楽しそうだな、なんて思いながらまた一口食べようとマスクをずらした。
「……あっ」
運悪く左側のマスクの紐が耳から外れてしまった。
そんな勢いよく外したわけじゃなかったはずなのに。
「どうした?」
「実桜ちゃん?」
私が声を出したことに反応して、2人から心配される。
……やばい。
ドクンと心臓が嫌な音を立てる。
きっと、見られてしまった。
この……左頬の火傷跡。