気づけば君が近くにいてくれた
6*
バタンと部屋のドアを勢いよく閉めて、ベッドに飛び込んだ。
居心地のいい場所に戻ってきて落ち着いたのか、目から涙がこぼれ落ちてきた。
「……っ」
いろいろな思いが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
“あの子の頬の火傷跡、痛そうねぇ”
“何があったのかしら”
“最近あるあれじゃない?“
”虐待とか“
”可哀想にねぇ”
私に向けられて発された言葉の数々が、まだはっきりと耳に残っている。
今日が初めてじゃない。
私が引きこもりになる前から浴びせられてきた言葉たち。
それが嫌で学校に行くことも、人に会うこともしなくなった。
アオイさんに出会って、香純ちゃんと藤波くんに出会って、やっと世界が変わってきたと思っていたのに。
やっぱり私は、あの頃から何一つ変わってなんか居なかった。
優しい人たちが近くにいたから、錯覚していただけだった。