気づけば君が近くにいてくれた



次の日の朝、パンパンに目を腫らした私の顔を見て昭子おばあちゃんは、とても心配そうにしていた。


それもそう。


友達と出かけて行って嬉しいと喜んでいた矢先、帰ってきたと思えば夕飯も食べずに部屋にこもって、朝起きてきたかと思えばそんな酷い顔をしているんだから。


私だったら心配で仕方がない。



「ほら、実桜ちゃんの大好きなプリン買ってきたからお食べ?」



昭子おばあちゃんは、詳しいことを問い詰めない。


それは今も変わらない。


私が元気の無い時は、こうして毎回プリンを買ってきてくれていた。


コンビニで売っている普通のプリンなんだけれど、とろとろのカスタードプリンで私の大好物。


昭子おばあちゃんの私への元気を出して欲しいという想いが伝わってくる。



「ありがとう」



あまり食欲はなかったけれど、その優しさを踏みにじることはできなくて受け取った。


蓋を開け、スプーンで一口すくって口へと運ぶ。


甘くて、口の中でとろけて、とても美味しい。


どんなに沈んでいても、甘いものを食べると少しだけ幸せな気持ちになれた。




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