気づけば君が近くにいてくれた
「それが、これ」
どんな反応をされるのか、怖くて2人の顔を見ることができない。
「触ってもいい?」
「……え?」
そう言われるのは初めてだった。
いつも“わぁ、痛そう”とか“可哀想”とかそういう言葉ばかりしか掛けられてこなかったから。
私はコクンと頷いた。
綺麗な手で火傷跡をなぞられる。
とても優しくて、なんだかくすぐったい。
「これが実桜ちゃんの生きてる証だね」
香純ちゃんは、目を泣き腫らしながらもふわりと優しく微笑む。
この火傷跡が“私の生きている証”。
そんなこと、初めて言われた。
「実桜ちゃんのご両親のことは本当に悲しいけど……実桜ちゃんが生きててくれて本当に良かった。こうして出会って友達になれて本当に、本当に良かったよっ」
ギューッと今までにないくらい固く、優しく抱きしめてくれた。
「ほらっ、藤波くんもなにか言いなよっ」
涙でぐしゃぐしゃになりながらも藤波くんに話を振る香純ちゃん。
その声に合わせて藤波くんの顔を見て、初めて藤波くんも涙を流してくれているのがわかった。