気づけば君が近くにいてくれた
私の話に親身になって聞いてくれて、涙を流してくれている。
そんな2人の優しさが本当に嬉しかった。
「香純ちゃんと藤波くんは本当に優しいね。今まで出会った人たちはそんなに優しくなんかなかった」
事故があって、それから心の整理がつかぬまま昭子おばあちゃんの家でお世話になることになって、実感が湧く前にお母さんとお父さんの葬儀が行われた。
やっと落ち着いた頃学校に戻ると、たくさんの人に心配された。
“実桜ちゃん、大丈夫?”
“寂しくない?”
“残念だったね”
“何かあったら先生が助けになるからね”
どれも優しかった。
私を心配してしてくれていたのはわかっていた。
でも、辛いと寂しくて仕方ないと泣きつくことができなかった。
大丈夫。
私は……大丈夫。
何を言われても強がってそう答えることしかできなくて、心が辛かった。
そう偽っているうちに、心配してくれる人が少なくなっていって、まるで何も無かったかのような日常に戻っていった。
私の心はあの日のまま、どこかに置いてけぼりになっているのに。