気づけば君が近くにいてくれた



「……っ、ありがとうっ、本当に今、私……嬉しくて……香純ちゃんと藤波くんに出会えてよかったっ」



そんなに優しくされたら、必死に堪えていたのに涙腺が崩壊して、大粒の涙がボロボロとこぼれ落ちる。


全然前が見えない。


2人の表情さえも見られないくらい涙が溢れてきた。



「でもねっ、私……もうこのままは嫌。ちゃんと、前に進みたいっ……」



泣きながら話す私の声は、きっと聞き取りにくいはずなのに、うんうんと頷いて聞いてくれる香純ちゃんと藤波くん。


香純ちゃんが私の背中を優しくさすってくれる。



「香純ちゃんっ、藤波くんっ……最後まで、話、聞いてくれて……ありがとう……っ」


「すごく頑張ったんだね、実桜ちゃんっ。私は実桜ちゃんの味方だよ!実桜ちゃんのやりたいことを全力で応援するし、支えるからっ!」


「たくさん傷ついても前に進もうとしてる片寄さんは、かっこいいよ」



今日……いや、ちょっと遅すぎたのかもしれないけれど、香純ちゃんと藤波くんに私の気持ちを話せて良かった。


聞いてくれるのが2人で良かった。


出会えたのが2人で良かった。




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