気づけば君が近くにいてくれた
深く息を吸って吐いて、呼吸を整える。
「私ね、ちゃんと学校に行けるようになりたい。香純ちゃんと藤波くんと一緒に」
「私もだよ!実桜ちゃんと一緒に学校に行きたい!」
「ありがとう、香純ちゃん。でも……まだその勇気が出なくて……」
そう、そこが問題だった。
2人に気持ちは打ち明けることができたけれど、私の心の弱さが治ったわけではない。
やっぱり学校に行くのは怖い。
香純ちゃんと藤波くん以外の人の前でマスクだって外す勇気もない。
2人は優しいから受け入れてくれたけれど、周りの人は?
前には進みたいけれど、また傷つくのは怖い。
「その怖い気持ち、私にもわかるよ」
「えっ……香純ちゃんも?」
私の問いかけに、香純ちゃんは大きく頷いた。
「私もね、いじめを受けたわけじゃないけれどこんな性格と声の高さだからぶりっ子って言われ続けてたの」