気づけば君が近くにいてくれた



香純ちゃんのカミングアウト。


どこか悲しそうな目をしていたけれど、その瞳の奥に強さも感じる。



「男の子の友達は多くても、同性からはやっぱり好かれなくて……友達が少なかったんだ」



勝手だけれど、香純ちゃんはとっても明るい性格で、たくさん友達がいるタイプだと思っていた。



「みんな私のこと良く思ってないのかなって思ったらなかなか自分から声かけるのが怖くなっちゃって……でもね、入学式で実桜ちゃんに会った時、あっこの子と仲良くなりたいって思ったんだよね」



その日を思い出すように優しい表情を浮かべて、私を見た。



「私と?」


「きっと心の優しい子なんだろうなって。実桜ちゃんの笑顔が見てみたいなって思ったの。だから、勇気を出せたんだ」



確かにあの日は、香純ちゃんから声をかけてくれた。


とっても緊張してたんだよ、と香純ちゃんははにかみながら言うけれど、あの時の香純ちゃんに全然そんな素振りなんてなくて。


香純ちゃんがそんな気持ちだったなんて、知らなかった。





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