気づけば君が近くにいてくれた



でも、これだけは言える。



「あの日、香純ちゃんが声をかけてくれて良かった」



初めまして日、私はあの日も香純ちゃんに酷い態度を取ってしまったけれど、あの時に香純ちゃんが声をかけてくれなかったら、今こうして話していなかっただろう。



「あーもうっ、嬉しすぎるよ……実桜ちゃん大好きっ」



力強くギューッと抱きしめられる。


この香純ちゃんとのハグは、私も大好きだ。



「僕だって怖かったり苦手だったり、コンプレックスはあるからね」


「藤波くんが……?」



学級委員長をしてて、成績も良くって、香純ちゃんに聞く限り運動神経も抜群。


そして、結構かっこいい。


そんな藤波くんにも?



「うん。僕は自分の気持ちを伝えるのが苦手だし、大切な人に本当のことを伝えるのが怖くて伝えられていないしね」



藤波くんは、あははと苦笑いを浮かべながらそう言った。


「藤波くんは苦手とか言いつつ、バレバレだけどね?」


「ちょっと小崎さんは黙ってて」


「わっ、藤波くんひどーい!なんなら、私が代わりに言ってあげてもいいんだよ?」


「なっ、それだけはダメだから!」



藤波くんは、香純ちゃんにとんでもない弱みでも握られてしまっているのだろうか?


ほんのり頬を赤らめた藤波くんは、ちょっぴり香純ちゃんを恐れているように見える。


コロコロと変わる藤波くんの表情がなんだか面白かった。





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