気づけば君が近くにいてくれた
藤波くんが空気の流れを変えるため、ゴホンと大きな咳払いをする。
「とにかく僕が言いたいのは、誰もがコンプレックスだったり弱さを持ってるってことなんだよ」
真っ直ぐ私の瞳を見つめる藤波くん。
「片寄さんの辛さは僕たちには全てを理解するのは難しいかもしれない。1人じゃ難しいことも、2人なら、3人なら乗り越えられることもあるかもしれない。もしかしたら、それでも難しいこともあるかも。でも、一番大事なのは気持ちだと思うんだ」
「気持ち……?」
「うん。片寄さんが変わりたいって気持ち。それかもある限り僕たちは全力で片寄さんを支えるし、希望は消えないよ」
藤波くんの言葉に、香純ちゃんもうんうんと頷く。
「無理はしなくていいから、一緒に頑張ろうね!」
「ありがとうっ、香純ちゃん、藤波くん」
なんだかね、香純ちゃんと藤波くんが居てくれたら変われる気がする。
もっと強くなれる気がするんだ。
だから、甘えさせてもらってもいいのかな?
いつか2人に恩返しができるように。
私は、前に進むことを諦めたくない。