気づけば君が近くにいてくれた



あと半周でゴール。


香純ちゃんが私のことを応援する声が聞こえる。


藤波くんは3周目に入ったらしい。


きっと半周差なんてすぐに追いつかれてしまう。


頑張れ私、あと少し。


最後の直線に入り、ゴールでは手を広げて私を待つ香純ちゃんの姿がはっきり見える。


ギリギリ視界に映っていた藤波くんの姿は私の後ろへと消えた。



「実桜ちゃん、あと少し!勝てるよ!!」



藤波くんとの差が気になって後ろを振り返りたくなったけれど、そんな気持ちを抑えて、私を呼ぶ香純ちゃんの元へと必死で飛び込んだ。



「やったーっ!私たちの勝ちだよ、実桜ちゃん!!」



ギューッと私を抱きしめる腕の力が強くなる。


私が香純ちゃんの胸に飛び込んだほんの少しあと、藤波くんが私の横を通り過ぎた。



本当にギリギリ。


でも、勝った。



「くっそー、あと少しだったのに」


「ハンデの条件出したのは藤波くんなんだから文句はなしだよ?」


「そんなのわかってるけど、悔しい」



大きく息を吸って吐いてを繰り返して呼吸を整えながら嘆く藤波くん。


ほとんど同時にゴールしただけあって悔しさも倍だと思う。


結果的には私と香純ちゃんの勝ちだけれど、藤波くんのすごさがわかるミニリレーだった。






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