気づけば君が近くにいてくれた
「香純ちゃんと藤波くん、今帰ったよ」
「そうかい、そうかい。最近は特に実桜ちゃんが楽しそうな笑顔をたくさん見られておばあちゃんも嬉しいよ」
たくさん顔にシワを寄せながらクシャッと笑顔を浮かべ、温かい緑茶をすする昭子おばあちゃん。
確かに、最近は自然と笑顔になれることが多いかもしれない。
自分を閉ざしていたあの頃みたいに貼り付けた笑顔なんかじゃなくて、心から出る笑顔。
「香純ちゃんと藤波くんのおかげだよ。2人と一緒にいると本当に楽しいんだ」
「素敵なお友達ができて良かったねぇ」
「うん!」
本当にそう思う。
私にはもったいないくらい素敵な友達。
「じゃあそろそろ夕ご飯にしましょうか」
「私も手伝うよ!今日の夕飯は何?」
「カレイの煮付けよ」
「本当!昭子おばあちゃんの作る煮付け好きなんだ」
「あら、嬉しいわ」
よっこらしょとテーブルに手を付きながらゆっくり立ち上がる昭子おばあちゃんを支えながら、夕飯の準備をするため、心を踊らせながら後をついて行った。