気づけば君が近くにいてくれた
8*
「んん……こんな朝から誰?」
朝早く着信音に起こされて、眠たい目を擦って重い瞼を開ける。
ベッドサイドに置いてあったスマホを手に取って画面を覗くと、香純ちゃんの文字が映し出されていた。
「香純ちゃん?」
寝ている間に乾燥した喉をリセットするため、1度咳払いをしてから通話ボタンを押した。
「もしもし」
「あ、実桜ちゃん!おはよーっ!」
電話越しに、朝早いというのにとてもテンションの高い香純ちゃんの声がした。
「朝からごめんね?今、大丈夫?」
こんな時間からかかってきた電話。
余程急ぎの用事か、大事な用事かもしれない。
「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」
いつも滅多にかかってこない電話だからこそ、何があったのか心配になる。
なんだか緊張して、ごくりと唾を飲み込んだ。
「これから実桜ちゃん家行ってもいい?」
「え?」
想像していない答えが返ってきて、思考が停止する。
今から香純ちゃんが私の家に?
今日は休日だけれど、普段遊びに来る時もだいたいお昼前とかが多い。
まだ時計は朝の6時を指していて、遊びに来るには早すぎる時間帯。