気づけば君が近くにいてくれた
大縄跳びは、今までの練習が役に立った。
多分、2人に誘われて公園で大縄跳びの練習をしていなかったら、体力が持たなくてこんなに跳べなかったかもしれない。
私たちのクラスは73回。
1位は取れなかったけれど、最後まで引っかからずに跳びきることができた。
体力が少し戻ってきたとはいえども完全復活ではなくて、大きく肩を上下させて息を切らす私に、隣で飛んでいた女の子が背中をさすってくれたことも嬉しかった。
「ありがとう」
「こんなに跳べるなんて実桜ちゃんすごいよ、お疲れ様!最後のリレーも頑張ろうね!」
お礼を伝えると、そんな励ましの言葉までくれて……
あんなに怖がって遠ざけていた学校には、優しい人たちで溢れている。
「学校はどう?」
「あ、香純ちゃん」
競技が終わってテントへ戻ると、隣へやって来て顔を覗き込んできた。
「まだ学校怖い?」
「……ううん、大丈夫そう」
確かに頭の片隅には恐怖感は残ってる。
目が合った時、声をかけられた時、身構えてしまっている私もいる。
それでも、少しずつ声をかけてくれた人と目を合わせられるようになってきた。
まだ短いちょっとしたものだけれど、会話もできるようになってきた。
「そっか、良かった」
香純ちゃんも心配してくれていたみたいで、私がそう言うとホッとした笑みを浮かべていた。