気づけば君が近くにいてくれた
体育祭の大トリである競技、クラス対抗リレー。
私の順番はだいたい真ん中くらい。
偶然なのかどうなのか、私がバトンを渡す相手は香純ちゃんで、受け取る相手は藤波くん。
最近の公園でやっていたリレーの練習では、藤波くんから受け取って香純ちゃんへバトンを渡すという流れで走っていた。
2人が考えてくれていたのは、本番と同じ流れだったのだと、今更になって気がつく。
パンッと心臓にまで響いてきそうなピストルの音が鳴って、最初のランナーがスタートした。
抜いたり、抜かされたり……
どのクラスも大接戦で、目が離せない。
なるべく後ろのクラスとは差が大きくなってるといいな。
そんな願いは届かないかもしれない。
2位と3位の大接戦でバトンは私の前の藤波くんへと渡された。
少し後ろには4位のクラスも追ってきているから、気は抜けない。
すごく重要な場面で私の番が回ってきそうで、緊張感が強くなってきた。
運動は苦手、足も遅い。
でも、頑張っているクラスみんなの足を引っ張りたくはない。
だから、全力で走る。