気づけば君が近くにいてくれた
教室に着くと軽く担任の先生から話があって、すぐに解散になった。
「片寄さん、今日は来れたみたいで良かった。体調とかは大丈夫?」
「あっ……はい、大丈夫です。ご迷惑おかけしました」
職員室に戻る前に担任の先生が私の方まで来て、声をかけてくれた。
家に電話をかけてくれたり、訪問してきてくれたり……
いろいろしてくれていたみたいたけど、私はいつも避けてばかりで、こうしてちゃんと話したのは初めてだ。
入学式ぶりに会ったわけだけれど、結構優しそうな先生かもしれない。
「迷惑だなんて思ってないよ。無理にとは言わないから、来られそうな日にまたこうして少しずつ来てくれたら嬉しいよ」
「ありがとうございます」
無理に来なくてもいいと、そんな風に言ってくれる先生はこの世界にどれくらいいるだろうか。
先生。
まだわからないけれど、少しずつまた学校というところに来ることができるかもしれません。
ここには、藤波くんと香純ちゃんが居てくれるから。
2人のおかげで、一歩前に踏み出すことができたから。