気づけば君が近くにいてくれた



「香純ちゃんお疲れ様!また来週ね!」


「うん、バイバイ!」



香純ちゃんの前の席に座っていた女の子が、帰り際に声をかけているのが聞こえた。



“またね”

“バイバイ”

“また明日”



そんな声が飛び交う放課後。


しばらく聞いてなかったから、懐かしく感じる。



「実桜ちゃんもまた来週ね!」


「へっ……うん、またね!」



まさか私にも声をかけてくれるなんて思っていなくて、一瞬思考が停止してしまった。



“また来週”



また来てもいいんだって、そう言ってくれている気がして、心がじんわりと温かくなる。


自分の口から出てきた“またね”という言葉。


すごく不思議な気持ちだ。


あんなに学校に行くことが嫌だと言っていた自分から出てきた言葉だとは思えない。


でも、確実に私自身の中で世界が変わってきていることを実感する。


ここはずっと怖がっていた世界じゃない。


すごく明るくて、温かい世界。



「良かったね、実桜ちゃん」


「うん、嬉しい」



笑顔で手を振ってくれた女の子に、香純ちゃんと一緒に手を振り返した。




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