気づけば君が近くにいてくれた



「片寄さん、小崎さん、そろそろ僕らも帰ろうか」


「あ、それなんだけど……」



見送ったあと藤波くんがカバンを持って私たちの方へと振り返った。


それと同時に、香純ちゃんが申し訳なさそうに胸の前で手を合わせて私を見た。



「私も一緒に帰りたいところなんだけど、今日はバイトがあって……ごめんね!あとは藤波くんよろしく!」



そう軽く敬礼をしてから、ハッと思い出したように、“くれぐれも実桜ちゃんに変なことはしないように!”と謎の忠告を藤波くんにした香純ちゃんは、足早に教室を出て行ってしまった。


もともと休日だったということもあり、ぞろぞろと帰っていくクラスメイトたち。


あの後も何人か「またね」と声をかけてくれる子が居て、その度に私も「またね」と返して手を振っていた。


そうこうしているうちに、いつの間にか教室には藤波くんと2人きりになってしまっていた。


放課後の教室。


窓の外から微かに賑やかな話し声が聞こえてくる。



「僕たちも帰ろうか」


「うん、そうだね」



机の上に置きっぱなしだったカバンを肩にかけて、久しぶりの学校を後にした。





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