気づけば君が近くにいてくれた
「こんなに……って?」
「小学校はクラスが全然違って声もかけられなくて、中学に上がってもミオちゃんと接点を持てなくて、気がついたら学校に来なくなっちゃってて、僕はミオちゃんに助けてもらったのに、何もできないんだって悔しくなった」
帰り道の途中で公園を見つけて、そこにあったベンチに腰掛けた。
青い空を見上げる藤波くんの拳は、膝の上でギュッと固く握りしめられている。
それがどれだけ悔しかったのかを物語っているように思えた。
「でも、突然チャンスがやってきた」
「チャンス?」
「うん。実は僕も親の影響でずっとC&Hのことが好きでSNSを始めて、またミオちゃんに出会えたんだよ」
そっか、藤波くんはアオイさんだもんね。
アオイさんは、私と同じくらい……いや、私以上にそのアカウントからはC&Hへの愛が溢れていた。
「その時は珍しい同い年の子を見つけて嬉しくなって話してたら、ミオちゃんとの共通点を見つけて、心を開いてくれた時に過去の話を聞いて、同一人物だって確信したんだ」
アオイさんにはなぜか心を許していた私。
優しいアオイさんは、いつも私のことを気にかけてくれていてたくさん話を聞いてくれていた。
受け入れてくれて勇気づけてくれるアオイさんには、何でも話していた。
全てを知っていた藤波くんなら、SNSの“ミオ”が私だってことに気づくのに、そうそう時間はかからなかったはず。