気づけば君が近くにいてくれた
寝ていると真冬だというのにものすごく熱くて目が覚めた。
ストーブの設定温度が高すぎたのだろうか。
それとも厚着をしすぎたのだろうか。
重たい瞼を擦って、薄らと目を開けた。
私は、今何が起きているのか、すぐに理解ができなかった。
部屋のドアの隙間から黒煙とオレンジ色に光る炎が見える。
え、嘘、火事?
学校の活動で避難訓練は散々やって来た。
地震が来たら机の下に隠れるか、部屋の中央に小さくなって集まる。
火事が起きた時には、ハンカチで口を押さえて、かがみながら速やかに外に逃げる。
そんなこと、頭の中ではわかってる。
もう何年もやってるんだから。
それでも、いざそんな状況が目の前で起きたら、体は動かない。
回らない頭を必死で動かす。
このドアの向こうは、きっと火の海だ。
この部屋を出てすぐの階段を降りていくと、お母さんとお父さんの寝室がある。
「お母さん!お父さん!」